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傷つきやすさと傷つけやすさ ケアと生きるスペースをめぐってある男性研究者が考えたこと|村上靖彦
¥1,650
管理と効率からケアを解放する ケアを管理と競争から解放し、「生きるスペース」を見出すにはどうしたらよいのか。 ある男性研究者が、自らを振り返り自身の「傷つけやすさ」に向き合って書いた、 『ケアとは何か 看護・福祉で大事なこと』(中公新書)の続編のような立ち位置にある1冊。 「私たちは傷つきやすい存在であると同時に、人を傷つける存在でもあり、 ケアをする存在でもあると同時につねにケアを受け取る存在でもある。」 「今までの僕は卓越した支援者から学んだケアを描くことが多かった。本書では僕自身の傷つけやすさ、 そしてケアにおけるネガティブな場面も考慮したうえで、ケアし合う社会と生きやすい空間を考えていきたい。」 「目の前の人がどのような世界構造のなかに置かれているのか理解することは非常に難しい。 僕が自明とする世界の枠組みからその人は排除されているがゆえに、その人に説明してもらうしかない。 説明してもらってもわからないかもしれない。 ところがそもそも説明してもらうこと自体がその人を傷つける。」 ●人間は相互に依存し合うと同時に、傷つけあってしまう ●なぜケアは家庭と施設に閉じ込められたのか ●自分の小さな願いごとから始める
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無意味なんかじゃない自分 ハンセン病作家・北條民雄を読む|荒井裕樹
¥2,200
川端康成にその才能を認められながら、 ハンセン病によって23歳でこの世を去った作家・北條民雄。 文学史に輝く傑作『いのちの初夜』を遺した若き小説家は、 なぜ病を抱えてなお書き続けたのか。 気鋭の文筆家がたどり着いた文芸評論の新境地! *********************** ぐっと近づいて北條民雄を見つめると、 「その気持ちわかるなあ!」が心から溢れてきた。 私たちはみんな弱い。 弱いままで強く生きた人の叫びがここにある。 市川沙央 *********************** 【目次】 はじめに 第一章 差別の歴史を振り返る 第二章 差別の感覚を掘り起こす 第三章 北條民雄の生涯 第四章 隔離の中の北條民雄 第五章 差別される自分に戸惑う 「いのちの初夜」を読む(その一) 第六章 光の中の毒を読む 「いのちの初夜」を読む(その二) 第七章 無限ループを走り続ける 〈社会的人間〉とは 第八章 「作家」という生存戦略 北條民雄の日記を読む(その一) 第九章 言葉と心の落差 北條民雄の日記を読む(その二) 第一〇章 麗しく迷惑な友情 北條民雄の日記を読む(その三) 終章 終わりに
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ケアと編集|白石正明
¥1,056
〈ケアをひらく〉の名編集者が一人ひとりの「弱さ」という傾きを後押し。自分を変えずに生きやすくなる逆説の自他啓発書。 もはやこれまでと諦めてうなだれたとき、足元にまったく違うモノサシが落ちている。与えられた問いの外に出てみれば、あらふしぎ、あなたの弱さは克服すべきものじゃなく、存在の「傾き」として不意に輝きだす──。
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傷のあわい|宮地尚子
¥880
『傷を愛せるか』の著者の原点となるエスノグラフィ 異国で、そのときなしえる最良の力で人生にぶつかり、傷つきに揺れる日本人。その語りに耳を傾け、生きることを同じ目線で考えた記録。 米国で何者かになろうと海を越えた青年、夫の海外転勤に合わせて渡米した女性、人生に詰んで海外へ拠点を移した男性──。異国の地で、不安定さや傷つきに揺れながらも、そのとき成しえる最良の力で人生にぶつかっていく。その語りに、若き日の著者が耳を傾け、生きるということを同じ目線で考えた記録。 解説 奈倉有里 ■宮地 尚子(みやじ・なおこ) 一橋大学大学院社会学研究科特任教授。専門は文化精神医学・医療人類学・トラウマとジェンダー。精神科の医師として臨床をおこないつつ、研究をつづけている。1986年京都府立医科大学卒業。1993年同大学院修了。主な著書に『傷を愛せるか 増補新版』(ちくま文庫)、『トラウマ』(岩波新書)、『ははがうまれる』(福音館書店)、『環状島=トラウマの地政学』(みすず書房)、『傷つきのこころ学』(NHK出版)がある。
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ケアの倫理と平和の構想 戦争に抗する 増補版|岡野八代
¥1,650
「正戦」「自衛」の名の下で人間の身体を破壊する戦争の本質を明らかにし、平和の構想を紡ぎだす。三牧聖子との対談を収録。 「戦後」も続く暴力の連鎖のなかで、フェミニズムは人間の「傷つけられやすさ」を見据え、ケアの視点から平和を希求してきた。「慰安婦」問題、9.11、ガザ……。「正戦」「自衛」の名の下で人間の身体を破壊する戦争の本質を明らかにし、平和の構想を紡ぎだす。対談「戦争に抗する思想」(岡野八代×三牧聖子)を収録。 ■岡野八代 1967年三重県生まれ.早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了.博士(政治学).現在,同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授.専攻は政治思想,フェミニズム理論.著書に,『シティズンシップの政治学―国民・国家主義批判増補版』(白澤社),『フェミニズムの政治学―ケアの倫理をグローバル社会へ』(みすず書房),『ケアの倫理―フェミニズムの政治思想』(岩波新書)など,訳書に,エヴァ・F. キテイ『愛の労働あるいは依存とケアの正義論』(共監訳,白澤社),アイリス・M. ヤング『正義への責任』(共訳,岩波現代文庫),ジョアン・C. トロント『ケアリング・デモクラシー―市場,平等,正義』(監訳,勁草書房)などがある。
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利他・ケア・傷の倫理学 ー「私」を生き直すための哲学|近内悠太
¥1,980
利他とは何か、 ケアの本質とは何かについての哲学論考 人と出会い直し、つながりを結び直すために 「大切にしているもの」をめぐる哲学的考察 「訂正可能性の哲学」がケアの哲学だったことを、本書を読んで知った。 ケアとは、あらゆる関係のたえざる訂正のことなのだ。 ──東浩紀 「僕たちは、ケア抜きには生きていけなくなった種である」 多様性の時代となり、大切にしているものが一人ひとりズレる社会で、善意を空転させることもなく、人を傷つけることもなく、生きていくにはどうしたらよいのか? 人と出会い直し、歩み直し、つながりを結び直すための、利他とは何か、ケアの本質とは何かについての哲学的考察。 進化生物学、ウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」、スラヴォイ・ジジェクの哲学、宇沢弘文の社会的費用論、さらには遠藤周作、深沢七郎、サン=テグジュペリ、村上春樹などの文学作品をもとに考察する、書きおろしケア論。 『楢山節考』はセルフケアの物語だった! 「大切なものはどこにあるのか? と問えば、その人の心の中あるいは記憶の中という、外部の人間からはアクセスできない「箱」の中に入っている、というのが僕らの常識的描像と言えるでしょう。/ですが、これは本当なのでしょうか?/むしろ、僕らが素朴に抱いている「心という描像」あるいは「心のイメージ」のほうが間違っているという可能性は?/この本では哲学者ウィトゲンシュタインが提示した議論、比喩、アナロジーを援用してその方向性を語っていきます。」 (まえがきより) ■近内悠太(ちかうち・ゆうた) 教育者、哲学研究者。統合型学習塾「知窓学舎」講師。著書『世界は贈与でできている』(NewsPicksパブリッシング刊)で第29回山本七平賞・奨励賞を受賞。
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差別はたいてい悪意のない人がする| キム・ジヘ 著 尹怡景 訳
¥1,760
あらゆる差別は、マジョリティには「見えない」。 日常の中にありふれた排除の芽に気づき、真の多様性と平等を考える思索エッセイ。 韓国で16万部突破のベストセラー! ☆各分野の識者が絶賛!☆ 「日本語上手ですね」例えばそんな褒め言葉が、誰かに苦痛を与えることもある。 多数者が変わらずに済むことを優先する社会は、少数者から「痛い」という言葉すら奪う社会でもある。 これまでずっと無視してきた痛みに、私たち全員が向き合うための一冊。 ――望月優大(「ニッポン複雑紀行」編集長) 「細かいことで差別だ偏見だと騒ぐ人が増えて、なんだか疲れる」と思ったことはありますか。 「騒ぐ人たちこそ、人を差別している」とも思うかもしれません。 どうしてこんなに“窮屈な”世の中になってしまったのか? この本はそんな疑問に答え、頭を整理してくれます。 ――小島慶子(エッセイスト) 差別は日常的にある。いい人でも悪い人でも差別をしてしまう。 偏った正義感こそが差別につながると、この本から学んだ。 私は「差別があるのは仕方ない」と諦めるのをやめたい。 まだ見たことのない、本当の公正な社会。それを目指す道すじをこの本が教えてくれる。 ――伊是名夏子(コラムニスト、車いすユーザー) 善意、不安、無知、無関心、被害者意識……と様々な形で「バランスの是正」や 「差別の禁止」を阻んでいるマジョリティ〈多数派〉とはいったい誰なのか。 認めるのは苦しいけれど、それはおそらく俺たちのことだ。 ――清田隆之(桃山商事代表)
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アンチ・アンチエイジングの思想 ボーヴォワール『老い』を読む|上野千鶴子
¥2,970
老いには誰も抗えない。 それなのに、私たちはなぜ老いを恐れるのだろう。平均寿命が延び、老人としての生が長くなったことで、誰もが老いに直面すると同時に不安も高まっている。 自分が老いたことを認めたくないのは、社会が老いを認めないからだ。それを惨めにしているのは文明のほうなのだ。「老いは文明のスキャンダルである」――この言葉に導かれて、ボーヴォワール『老い』への探究がはじまる。 さらに日本の介護の現場を考察し、ボーヴォワールのみた景色の先へと進む。認知症への恐怖、ピンピンコロリという理想、安楽死という死の権利。その裏側にある老いへの否定から見えてくるのは、弱いまま尊厳をもって生ききるための思想がぜひとも必要だということだ。 ひとが最後の最後まで人間らしく生きるには、徹底的な社会の変革が必要なのだ。老いて弱くなることを否定する「アンチエイジング」にアンチをとなえ、老い衰え、自立を失った人間が生きる社会を構想する。
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きもち保管室|エッセイ集○○×
¥1,200
その気持ち、預けてみませんか。 同じテーマで書かれた文章を集めてまとめた冊子『〇〇×(まるまるばつ)』。第三弾となる今回のテーマは「言わないでいること」。 ✳︎ 「誰かに話したい」と「誰にも言いたくない」は相反するように思えて実は近いところにある気持ちなのではないか、と考えることがありました。 深夜のゆっくり進むタイムライン。誰も見ていないなら言えるかも、と心が軽くなる瞬間。書き出すだけならメモでいいはずなのにSNSなど「人が見えるところ」に書いてしまうのは、「それでも誰かに見てほしいから」なのかなと感じています。 心に仕舞っているものを文章にすると、その文章に気持ちも預けておける気がしています。 そして、残しておいているから大丈夫だと思うのか、その出来事への執着が薄まる気もします。無理に取り出す必要は確かにありません。でも、もし抱えきれなくなったとき、抱えきれるときでも、一時的にそうやって気持ちを体から出せたなら、思い悩んでしまう夜が減るのではないか、そういう本は作れないかと思い、本の制作に取り掛かりました。 取り出したら置いておく場所が必要でそこは安心して預けられて大切に保管しておける場所でなければならない、そして預けておくだけではなく必要なときは取りに来れる場所にしたいという想いから、「きもち保管室」と名付けました。 また、本全体で文章と名前の紐づけを明確にしないようにしてあります。(寄稿者の「文章に責任を持ちたい」という想いもあり、本の中では必ず分かる形を、と章の最後でまとめてわかるようにしています)。 話す側も聴く側も、傷ついたり、背負ったりする必要がないように。ネガティブなシーンで聞くことが増えてしまった「匿名」を、ポジティブな形で使うことができないかと考えました。 読み手にとっても、旅先のバーで話を聴くような、飛行機で隣になった相手と着陸まで話すような、抱え込む必要はなく、でも感情の動く本になったら、と思っています。 ===== 企画・発案 かんの より 購入いただけた方全員に特典でステッカーをプレゼント(無くなり次第終了とさせていただきます)! 寄稿者:柏木友椰 かわえみ かんの すなば 中辻作太朗 七緒 生湯葉シホ Podzol 丸太洋渡 輪湖 ほか 企画・発行 かんの
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障害のある10代のための困りごと解決ハンドブック| 野口晃菜・松波めぐみ
¥2,200
障害のある10 代の困りごとと、その解決方法を「障害の社会モデル」の観点からわかりやすく答えた、初めての書籍。 障害に由来する問題を本人に解決させるのではなく、「合理的配慮」の提供や、福祉サービスの利用によって、あなたがあなたらしく生きる方法があることを伝えます。 セクシュアリティに関する悩みや、恋人とのセックスといった、従来の福祉書では扱われなかったことがらも取り上げました。障害のある先輩たちのリアルな経験も多数紹介し、役に立つ相談先リストも掲載しています。さまざまな障害種にも対応! 学校・友だち・恋愛・家族・進路進学・はたらくことなど8つのテーマに対応 総ルビ、全ページにイラストつき! ◾️野口晃菜 さまざまなバリアがないインクルーシブな社会をつくるために活動中。特にインクルーシブな学校づくりが専門。 共著『LDが見つけたこんな勉強法」(合同出版)、「差別のない社会をつくるインクルーシブ教育」(学事出版)など。 ◾️松波めぐみ 会社員だった20 代の頃、自立生活をしている人と友達になったのが原点。専門は障害学と人権教育。現在は大学で合理的配慮を行うための仕事をしている。 著書『「社会モデルで考える」ためのレッスン』(生活書院)。
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養生する言葉|岩川ありさ
¥1,760
この世界が、あなたにとって、ちょっとでも生きやすくなりますように。 自分自身を優しくいたわる「ヒント」がつまったエッセイ集。 『物語とトラウマ』を上梓したトラウマの研究者でもあり、現代日本文学の研究者でもある岩川ありささんが、自身のトラウマについて見つめるところから、出会ってきた言葉や物語がいかに自分の生を支えてくれたのか、記録するように書いていったエッセイ集。 大江健三郎、ハン・ガン、津村記久子、文月悠光、『ブルーロック』、『君と宇宙を歩くために』……文学研究者が出会った、人生に寄り添ってくれる「言葉」と「物語」。 ”大きな言葉、強い言葉ではなく、自分をねぎらい、心のエネルギーを増やしてくれる言葉が人生には必要だ。 そこから力をえて生きられるようなちょこんと置かれた言葉。それを私は養生する言葉と呼んでみたい。生きるためのヒントとなる言葉、生きることを養ってくれる言葉は、きっとあなたの背中をささえてくれるだろう。 そして、養生とはいつもこの社会の中で行うものなのだということについてもこの本では話してみたい。”
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自分にやさしくする生き方| 伊藤絵美 著
¥990
『セルフケアの道具箱』などこれまでもセルフケアを推奨してきた著者の新刊がちくまプリマー新書から出ました。 セルフケア「しなければ」と思っていませんか? セルフケアは「一人で頑張る」ものではありません。本書と一緒に、心の根っこにあるストレスに気づき、解消して、自分にやさしくする技術を身につけましょう。 こんな人におすすめ ・寝る前も勉強や仕事が気になってリラックスできない ・休むと自分を甘やかしているようで罪悪感がある ・人に迷惑をかけるのが怖くてSOSを出せない ・みんなはもっと頑張っているのに…と落ち込む ――― 【著者からのメッセージ(本書より)】 「自分にやさしくする」ことは、一種の「スキル」すなわち「技術」であると気軽に考えてもらいたいのです。スキルは練習によって身につけることができます。 「自転車に乗れなければならない」と思っていたからといって自転車に乗れるようになるわけではありません。そんな思いがあってもなくても、自転車に乗る練習さえすれば、いつか必ず自転車に乗れるようになります。 それと同様に、みなさんにも、価値観や信念といった深い思いはさておき、これから紹介するさまざまなワークを実践することで、「自分にやさしくする」スキルが身につき、気づいたら「自分にやさしくする」ことが習慣になっていた、という流れに乗っていただきたいと思います。 ―――
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能力主義をケアでほぐす|竹端寛
¥1,870
社会学者である竹端寛さん、仕事人間だったという竹端さんは娘の誕生によって「家族・子育て」というケアの領域にどっぷりと向き合い始めます。それ以来、無意識にもブログなどで綴ってきたケア論や能力主義批判をまとめた一冊です。 能力主義のしがらみからいかに抜け出すか? ケアから考える 家族、学校、社会、制度、そして資本主義 長らく成果主義と自己責任論の呪縛に苦しんできた著者が、自らの子育て体験を経てケアに目覚めた。その過程で読んできた本、出会ってきた人々とのエピソードで語る、ケア中心社会への見取り図となる思索エッセイ。 能力は個人に備わったものではなく、他者との関係性のなかで立ち上がるもの。能力主義の軋轢に対しては、ケアの精神でときほぐす! “僕自身が「仕事中毒」だったときには、生産性至上主義の塊で、業績を出すことに強迫観念的に縛られていた。そのことに自覚的になったのも、家事育児に明け暮れた一日が終わって、「今日は何も出来ていない!」とため息をついている自分に気づいた時期からでした。そこから、自分を解放するためにも、少しずつ「能力主義批判」がはじまったのでした。”(「はじめに」より) ”竹端さんは正直な人である。 正直さは研究者にとって必須の知的資質である。 本書を読むと、正直さが知的離陸を可能にすることがわかる。” ──帯文・内田樹
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【古本】あわいゆくころ ―陸前高田、震災後を生きる|瀬尾夏美
¥1,000
東日本大震災で津波の甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市。絵と言葉のアーティスト・瀬尾夏美は、被災後の陸前高田へ移り住み、変わりゆく風景、人びとの感情や語り、自らの気づきを、ツイッターで継続して記録、復興への“あわいの日々”に生まれた言葉を紡いできた。厳選した七年分のツイート〈歩行録〉と、各年を語り直したエッセイ〈あと語り〉、未来の視点から当時を語る絵物語「みぎわの箱庭」「飛来の眼には」で織り成す、震災後七年間の日記文学。 ◾️瀬尾夏美(せお・なつみ) 1988年、東京都足立区生まれ。宮城県仙台市在住。東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修士課程修了。土地の人びとの言葉と風景の記録を考えながら、絵や文章をつくっている。2011年、東日本大震災のボランティア活動を契機に、映像作家の小森はるかとの共同制作を開始。2012年から3年間、岩手県陸前高田市で暮らしながら、対話の場づくりや作品制作を行なう。2015年宮城県仙台市で、土地との協働を通した記録活動をする一般社団法人NOOK(のおく)を立ち上げる。現在も陸前高田での作品制作を軸にしながら、“語れなさ”をテーマに各地を旅し、物語を書いている。ダンサーや映像作家との共同制作や、記録や福祉に関わる公共施設やNPOなどとの協働による展覧会やワークショップの企画も行なっている。主な展覧会に「クリテリオム91」(水戸芸術館、茨城、2015年)、ヨコハマトリエンナーレ2017(横浜美術館・横浜赤レンガ倉庫、神奈川、2017年)など。
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らせんの日々 ― 作家、福祉に出会う|安達茉莉子 ぼくみん出版会
¥1,980
SOLD OUT
タイトルの『らせん』がとても印象的です。 この言葉は、数十年にわたり福祉の道に従事してきたひとりの職員が書いた広報誌の文章から引用されています。 ”「福祉に従事することは、多かれ少なかれ、“らせん”のようなものである」 同じところをぐるぐると回っていて、自分が前に進んでいるのか後ろに進んでいるのかもわからない。答えのない日々。だけど、一歩一歩でも少しずつ上昇していく。そんな言葉を遺した人がいて、ずっと覚えていた人がいる。” 数十年に渡り福祉の道に従事してきたひとりの職員が、福祉と「支援」について書き残した一文。 障害者支援や高齢者福祉など多様な分野の事業所を運営する社会福祉法人、南山城学園。そこで著者が出会ったのは、この社会がより生きやすいものになっていくためのヒントに溢れた、“最先端”の風景でした。 素朴だが、やさしく、やわらかい空間。 丁寧かつ創意工夫に満ちた、細やかな支援。 データをとり、その分析によって得られたエビデンスに基づいた取り組み。 日々の実践をふりかえって研究し、言葉にすることを重視する活動。 答えのない、複雑な事柄について話し合うことができる空気。 利用者の生きがいに寄り添い、そのひとの人生に思いを巡らせることのできる想像力。 支援しつづけるために支え合う、職員どうしのフラットな関係性。 ーーそれらの根底に流れ、職員全体に浸透する「人を大事にする」という意識。 自分を取り巻く暮らしを少しずつ変えていくことで幸福へと近づいていく自らの軌跡を描いたベストセラー『私の生活改善運動 THIS IS MY LFE』。 その著者・安達茉莉子が次に描くのは、誰もが人間らしく生きることができる世界を目指す「福祉」の現場。より良く生きることを目指した「生活改善運動」から、自然とケアの世界に足を踏み入れる事になったのだと思います。そのつながりは、偶然のようで決して偶然ではないと感じます。 上から見れば、堂々めぐりのように見え、横から眺めれば後退しているようにも見える。でも、踏み出した一歩によって、わずかに、高みへと上がっている。そんな“らせん”のような日々を、福祉の現場ではたらく職員の語りを通して描いたエッセイ。 一人ひとりのケアの実践を丹念に汲み取り、安心して自分らしく生きられる社会へのヒントを見出し、本という形にしたこのプロジェクトの見事さ。ぜひ、本を読んで味わっていただきたいです。 B6変形 224ページ ■安達茉莉子 作家・文筆家。大分県日田市出身。東京外国語大学英語専攻卒業、サセックス大学開発学研究所開発学修士課程修了。 政府機関での勤務、限界集落での生活、英国大学院留学などを経て、言葉と絵による表現の世界へ。自己の解放、記憶、 暮らし、旅、セルフケアなど、「生」をテーマにした執筆を続ける。このほか、詩作、朗読会、トークイベント、講座など幅広く活動している。
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【古本】鬱の本
¥1,200
本が読めないときに。 鬱のときに読んだ本。憂鬱になると思い出す本。まるで鬱のような本。 「鬱」と「本」をめぐるエッセイ集。84人の鬱の本のかたち。 (夏葉社さまの『冬の本』にインスパイアされてつくった作品です)。 この本は、「毎日を憂鬱に生きている人に寄り添いたい」という気持ちからつくりました。どこからめくってもよくて、一編が1000文字程度、さらにテーマが「鬱」ならば、読んでいる数分の間だけでも、ほんのちょっと心が落ち着く本になるのではいかと思いました。 病気のうつに限らず、日常にある憂鬱、思春期の頃の鬱屈など、様々な「鬱」のかたちを84名の方に取り上げてもらっています。 「鬱」と「本」をくっつけたのは、本の力を信じているからです。1冊の本として『鬱の本』を楽しんでいただくとともに、無数にある「鬱の本」を知るきっかけになれば、生きることが少し楽になるかもしれないという思いがあります。 この本が、あなたにとっての小さなお守りになれば、こんなにうれしいことはありません。あなたの生活がうまくいきますように。
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【古本】もうひとつの声で―心理学の理論とケアの倫理|キャロル=ギリガン
¥2,500
フェミニズムに画期をもたらし、“ケアの倫理”の原点とされる名著の増補版を完訳。女性の道徳発達を低く見積もってきた、主流派心理学の男性中心主義を剔抉、「目の前の苦しみを和らげよ、誰ひとり取り残されてはならない」と命じる“ケアの倫理”の声を聴き取る。 目次 第1章 人間/男性のライフサイクルにおける女性の位置 第2章 関係性の複数のイメージ 第3章 自己と道徳性の概念 第4章 危機と移行 第5章 女性の権利と女性の判断 第6章 成熟の姿
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【古本】ケアする惑星|小川公代
¥800
他者なるものを慈しむ、惑星的な視座。 『アンネの日記』、『おいしいごはんが食べられますように』、ヴァージニア・ウルフ、オスカー・ワイルド、ジェイン・オースティン、ルイス・キャロル、チャールズ・ディケンズ……。 『ケアの倫理とエンパワメント』で注目された英文学者が、ケアをめぐる現代の事象を文学と自在に切り結び語る論考。 目次 1章 ”ケアする人”を擁護する――『アンネの日記』再読 2章 エゴイズムに抗するーーヴァージニア・ウルフの『波』 3章 オリンピックと性規範――ウルフの『船出』 4章 ウルフとフロイトのケア思想 1――『ダロウェイ夫人』における喪とメランコリー 5章 ウルフとフロイトのケア思想 2ーー『存在の瞬間』におけるトラウマ 6章 ネガティヴ・ケイパビリティーー編み物をするウルフ 7章 多孔的な自己ーーアートと「語りの複数性」 8章 ダーウィニズムとケア 1 ー―『約束のネバーランド』と高瀬隼子作品 9章 ダーウィニズムとケア 2ーーウルフの『幕間』 10章 ピアグループとケアーーオスカー・ワイルドの『つまらぬ女』 11章 カーニヴァル文化とケアーールイス・キャロルの『不思議の国のアリス』 12章 格差社会における「利他」を考える――チャールズ・ディケンズの『ニコラス・ニクルビー』 13章 戦争に抗してケアを考えるーースコットの『ウェイヴァリー』とドラマ『アウトランダー』 14章 ケアの倫理とレジスタンスーーオースティンの『レイディ・スーザン』と映画の『ロスト・ドーター』 あとがきーーケアと惑星的思考
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【古本】聴こえない母に訊きにいく|五十嵐 大
¥1,000
聴こえない「母」が、聴こえる「ぼく」を産むまで――。コーダである息子が未来に進むために描く、小さな家族の歴史。
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【古本】支援のてまえで たこの木クラブと多摩の四〇年| 三井さよ、児玉雄大
¥1,200
ものすごい勢いで物事が変化していく支援の現場。 発せられた言葉はあっという間に過去のものになり、日々更新されていく。 でも、だからこそ、多摩の人たちが何をしようとしてきたのかを伝えたい。 昔を懐かしむのでもなく、「いま」をそのまま切り取るのでもない、そうした記録を残したい。
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【古本】早稲田文学増刊号 家族|早稲田文学会
¥800
【総特集】 家族コロナ禍を経て、あらためて問われつつある「家族」。ことほぎ、呪い、あるいは両極に振れることなく思索にあるための総特集増刊号。 〈対談〉小川公代+小林エリカ「ケアを見つめ、家族を思う」 〈小説〉井戸川射子「マイホーム」松原俊太郎「いえいえ」温又柔「おりこうさん」鈴木みのり「ほころび」石川宗生「野に還る」 〈現代語訳+イラスト〉雪舟えま+こばやし雪の「この人たちはうちの子です(『今昔物語集・讃岐国人行冥途還来語第十七』より)」 〈論考〉米村千代「現代社会における「家」」高橋千晶「赤い暗室 家族を現像する」森暢平「「眞子さまの恋」から考える近現代の結婚」佐々木亜紀子「小川洋子の描くケアラーたち――〈家族の私事〉を生きる」西口想「私たちの「公私」観と、労働と家族をめぐる百年」田間泰子「リ/プロダクティヴ・ライツをめぐる考察――健全近代家族を超えるために――」阿古真理「家事と家族」深海菊絵「創造的な家族実践としてのポリファミリー」濱田麻矢「母にならない娘たち 二〇世紀中国文学の堕胎と子捨て」北井聡子「嫉妬と集団――小説『何をなすべきか』における新しい家族の模索――」有本真紀「家庭と学校の関係小史 「学校的社会化」の視点から」〈再録小説〉室生犀星「弄獅」風間眞一「川沿ひの家」
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【古本】ケア宣言 相互依存の政治へ|ケア・コレクティヴ
¥1,000
ケアの概念を手がかりに、家族、コミュニティ、国家、経済、そして世界と地球環境の危機を解明し、ケアに満ちた対案を構想する。 ケアを貶める政治を越えて、ケアに満ちた世界へ。 コロナ禍は、ケア実践やケア労働の重要性と、それを疎かにしてきた社会のあり方をあらわにした。ケアの概念を手がかりに、家族、コミュニティ、国家、経済、そして世界と地球環境の危機を解明し、ケアを中心に据えた対案を構想する。 ◎著者 ケア・コレクティヴ(The Care Collective) ケアをめぐる世界的な危機に取り組むことを目的に、2017年にロンドンで活動を開始した研究者・活動家グループ。本書の著者は、アンドレアス・ハジダキス(消費研究者)、ジェイミー・ハキーム(メディア研究者)、ジョー・リトラー(社会学者)、キャサリン・ロッテンバーグ(北米研究者)、リン・シーガル(心理学者)の5人。 ◎訳者 岡野八代(おかの・やよ) 1967年生まれ。同志社大学グローバル・スタディーズ研究科教授。専攻は西洋政治思想史・現代政治理論。著書に『フェミニズムの政治学――ケアの倫理をグローバル社会へ』(みすず書房、2012年)、『ケアするのは誰か?――新しい民主主義のかたちへ』(白澤社、2020年)ほか。 冨岡 薫(とみおか・かおる) 1993年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科哲学・倫理学専攻後期博士課程。国立研究開発法人国立がん研究センター社会と健康研究センター生命倫理・医事法研究部特任研究員。専攻はケアの倫理と生命倫理・研究倫理。論文に「ケアの倫理における「依存」概念の射程――「自立」との対立を超えて」(『エティカ』第13号、2020年)。 武田宏子(たけだ・ひろこ) 1968年生まれ。名古屋大学大学院法学研究科教授。専攻は政治社会学。著書にThe Political Economy of Reproduction in Japan: Between Nation-State and Everyday Life(Routledge、2005年)、The Routledge Handbook of Contemporary Japan(共編著、Routledge、 2021年)ほか。
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【古本】ハッピークラシー 「幸せ」願望に支配される日常|エドガー・カバナス エヴァ・イルーズ
¥2,000
「幸せの追求はじつのところ、アメリカ文化のもっとも特徴的な輸出品かつ重要な政治的地平であり、自己啓発本の著者、コーチ、[…]心理学者をはじめとするさまざまな非政治的な関係者らの力によって広められ、推進されてきた。だが幸せの追求がアメリカの政治的地平にとどまらず、経験科学とともに(それを共犯者として)機能するグローバル産業へと成長したのは最近のことだ」(「序」より)。 ここで言及される経験科学とは、90年代末に創設されたポジティブ心理学である。「幸せの科学」を謳うこの心理学については、過去にも批判的指摘が数多くなされてきた。本書はそれらをふまえつつ、心理学者と社会学者の共著によって問題を多元的にとらえた先駆的研究である。 「ハッピークラシー」は「幸せHappy」による「支配-cracy」を意味する造語。 誰もが「幸せ」をめざすべき、「幸せ」なことが大事――社会に溢れるこうしたメッセージは、人びとを際限のない自己啓発、自分らしさ探し、自己管理に向かわせ、問題の解決をつねに自己の内面に求めさせる。それは社会構造的な問題から目を逸らさせる装置としても働き、怒りなどの感情はネガティブ=悪と退けられ、ポジティブであることが善とされる。 新自由主義経済と自己責任社会に好都合なこの「幸せ」の興隆は、いかにして作られてきたのか。フランス発ベストセラー待望の翻訳。
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【古本】自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界; 幼児期から老年期まで|サラ・ヘンドリックス
¥2,000
幼児期、学校、就職、出産、老い……生まれてから老いるまでの間に、自閉スペクトラム症の女の子はどんな体験をするのか。自らも当事者の著者が、当事者や家族の証言をもとに描き出す。 【目次】 本書に寄せて 序章 女の子たちも自分が何者なのか知る権利がある 第1章 女の人も自閉スペクトラム症になる ASDには性差がある/男女比はどれくらいか/神経学的特性は男女で異なる/特徴的な行動も違う/子どもの遊びの性差/その他の行動の性差を見る/人懐こくておしゃべり/女の子は自分を隠す 第2章 診断までの道のり 診断を受けるということ/診断基準DSM-5の改訂による影響/臨床医の知識と経験によって診断が大きく変わる/女性はASDと診断されづらい/他の病名がつく場合/女性のASD診断への道のり/女性に特化したASD診断の方法/ASDだと信じてもらえない/正確な診断を受けるために/最初に診断を受けた年齢/なぜ診断するのか?/子どもの診断/成人の診断/診断情報の開示 第3章 この子は何かが違う――乳幼児期 なかなか診断がつかない/女児の診断の遅れ/幼児期の指標/非言語コミュニケーションのなかで気づくこと/発話、言語コミュニケーション、言語理解で感じるずれ/予測できない状況が苦手/遊ぶ様子から見えること/強い関心を示す対象がある/ASDの女の子の典型的な関心対象/おもちゃの選択/広がる空想の世界/食べ物の好みから見えるもの/「女の子らしい」はあまり好まない/睡眠時の特徴/小児期における性自認 第4章 まわりになじめない――子ども時代の関係性 友達や他人とどのように接しているか/大人を好む/同世代との友人関係/観察し、模倣する/物事を共有できない 第5章 変わっていく身体と複雑な友人関係――思春期に出会う困難 何から始めればいいの?/同世代との関係性/難しくなる人間関係/「違い」の自覚/なじもうとする努力/ネットの友達/精神衛生上の問題/特徴が見えなくなる/コミュニケーションと社会的理解/この時期の関心事/変化への対処が難しい/自立スキルを養う/生理と身体の変化 第6章 家の外はカオスーー学校生活に必要な支援 学校でどう過ごすか/就学前(幼稚園・保育園)/物理的環境/教務スタッフ・支援員/決まりのない場所や遊びへのとまどい/小学校/休み時間の難しさ/学習スタイルの特徴/好きな科目・嫌いな科目/教師の対応/どんな環境で過ごしていたか/思春期以降の学校/カレッジ/大学/教育的支援が必要 第7章 大人になってからASDだとわかった女性たち――成人診断がもたらすもの 成人期の診断/診断がついたら何が変わる?/ASDでなければよかった?/もっと早く診断されていればよかった? 第8章 「ASDに見えない」――大人になってからの困難 成人期の特徴と「普通」に見えるということ/成人した女性に見られる特徴/非言語的な特徴/コミュニケーションにおける特徴/共有できない/自己刺激行動をとってしまう/変化や不確実なことへの対応が難しい/空想の世界と想像上の友達/服装の特徴/関心の対象/睡眠/自律スキルを身につけている 第9章 大人の人間関係――友人になるってどういうこと? 友人関係/友人づくりの難しさ/友達の少なさ/友人関係を維持するための努力/友達に求めるもの/惹かれる相手/同性が苦手/ネットの友達に助けられる/友人がいない/社会からの孤立/動物が友達/一人でいることを楽しむ 第10章 男か女かどちらでもないか?――セクシュアリティと性自認 いくつになっても「女らしさ」になじめない/特徴的な性自認/トランスジェンダー/ASDとトランスジェンダーの関係/性別を移行すべきか/性自認の違いに気づいたのはいつ?/カミングアウトするか/支援について/セクシュアリティはどのように決めるか/無性愛者 第11章 好きな人とつながりたい――恋愛・性行為・パートナーシップ 恋愛することの特別な難しさ/恋人候補への強い関心/シグナルを見逃す/パートナー選び/お世話係りとして/感覚的な好み/選択基準がない/独り身を貫く/最初の性的経験/性的暴行を受けるリスクが高い/レイプ/セックスと肉体的なつながり/良好な関係を築ける相手 第12章 子どもを産むとき――妊娠と育児のあれこれ 妊娠・出産・育児から得られる感情/子どもがほしいという気持ち/妊娠/出産/コミュニケーションの問題/感覚刺激を調整する必要性/母乳育児がうまくいく人、いかない人/ASDであり、母親であるということ/新生児期/母親としての劣等感/私の子育て/子どもに恥をかかせる/ASDであることの利点/ASDの子どもを持つ母親として/ASDの母親を持つ子どもたち 第13章 身体の不調とどう付き合うのか――健康で豊かな生活をおくるには 身体的な健康/アレルギー、不耐性、過敏症/アーレン症候群・スコトピック感受性症候群/月経/摂食障害/抑うつ/不安/自傷行為/自殺願望 第14章 こんな働き方をしています――就職するとき 就職するときの難しさ/仕事上の課題/期待される性役割/調整/理想の仕事/治療法と治療計画 第15章 ASDとともに老いてゆく――老後を考える 年齢を重ねることによる変化/高齢者の診断/医療・社会福祉の利用/心身への影響/人付き合いへの影響/加齢のプラス面/ASDのおばあちゃん 第16章 理想の生き方とはどんなもの?――死ぬ前におこなっておきたいこと 第17章 おわりに――あなたはどう生きていく?