-
傷病エッセイアンソロジー 絶不調にもほどがある!
¥1,540
生きていれば、予期せぬ苦難に見舞われることがある。 心も体も、いつも健康でいられるわけじゃない。 孤独や不安、思わぬ心境の変化や、誰にも言えない気持ち―― 病気や怪我に直面したときの心模様のリアルを、15名の書き手が綴った。 生きることの痛みと希望を映し出す、傷病エッセイアンソロジー! 【目次】 上坂あゆ美 起きてしまったことはどうしようもないから 金川晋吾 繊細な私の胃 尾崎大輔 明るくなっただけだった 堀道広 鎖骨の思い出(漫画) 鳥井雄人 血、恐い こだま せっかく病気になったので 星野文月 骨折と婚約 武田砂鉄 サボってるって思ってるみたいよ 碇雪恵 1997年8月11日 中村一般 歯医者ビビリが外科手術で親知らずを抜いたレポ(漫画) 三田三郎 人間的な「悪意」の気配 小原晩 ぬう 玉置周啓 玉置 いとうひでみ 心のゆくえ(漫画) 飯村大樹 おいしそうな怪我 『傷病エッセイアンソロジー 絶不調にもほどがある!』 2025年10月17日 初版第一刷発行 サイズ 165mm × 110mm イラスト・題字 堀道広 装丁 飯村大樹 企画・編集 尾崎大輔 星野文月 発行 BREWBOOKS 印刷・製本 モリモト印刷株式会社
-
いいことばかりは続かないとしても|大崎清夏
¥2,090
山にも、街にも、悲しみの先にも。どこにだって発見はある。自然と芸術を求めて旅する最注目詩人の、〈生への祈り〉と〈センスオブワンダー〉に満ちた傑作エッセイ 祝・萩原朔太郎賞受賞! いま最も注目される詩人・大崎清夏の、旅と暮らしとことばの軌跡。 熊のいる山奥・湘南の海辺・震災後の能登半島・知床の雪原・ハンセン病資料館・ヴェネチア・そして古今の文学と映画と芸術の中まで――〈自然=力=詩〉を探して、どこまでも。 すみかも、生活も、人間関係も、 何かが変わってしまっても、柔らかい力強さをもって生きてゆくために。 「いいことばかりは続かないとしても、あくまでも軽妙に、明るく、希望をもって。(…)どんなに事態が悪化したように見えるときでも、そこに新しく面白いことを見つけることはできる。その先に待ち受ける大仕事にとりかかることはできる。無限の可能性を持った子どもにもう戻れない私たちは、大人として世界を拓けばいい。英語が話せなければ、日本語で語りかければいい。崇高な野生動物になれないなら、人間という変な動物として、生き延びる道を探ればいいのだ。」(本文より) 全国書店からの反響続々! 「山や海、街の喧騒、そして人生の悲しみの中にさえ、発見や美しさが潜んでいることに気づかされる。」――新井さゆりさん(文真堂書店 ビバモール本庄店) 「夢みるようなメルヘンの世界と震災の傷が呼び起こす痛みが同居して、どちらも自分たちの世界なのだと素直に思えた。」――原田里子さん(マルサン書店 サントムーン店) 「いいことがない時も、見方や考え方で世界が変わっていくような、心やわらかなエッセイ集。」――宗岡敦子さん(紀伊國屋書店 福岡本店) 「忙しい日常を過ごす中で、この本を読む間だけでも、時間をいっさい考慮に入れない「時」を味わえる一冊。」――岩谷妙華さん(須原屋 ビーンズ武蔵浦和店) ■ 大崎清夏 (オオサキ サヤカ) 2011年、第一詩集『地面』刊行。詩集『指差すことができない』で中原中也賞、『暗闇に手をひらく』で萩原朔太郎賞受賞。ほか著書に『踊る自由』『目をあけてごらん、離陸するから』『私運転日記』『湖まで』等。
-
痛いところから見えるもの|頭木弘樹
¥1,870
痛みは人を孤絶させる壁。が、そこに岩清水のように滴る言葉があった。 ――鷲田清一(哲学者) ユーモラスで、しみじみせつない、はじめてみる光。 ――伊藤亜紗(美学者) 潰瘍性大腸炎から腸閉塞まで――壊れたからこそ見えるものがある。 絶望的な痛みと共に生きてきた著者がゆく〝文学の言葉〟という地平 ・水を飲んでも詰まる〝出せない〟腸閉塞のつらさ ・痛みでお粥さえ口に〝入れられない〟せつなさ ・オノマトペ、比喩……痛みを「身体で語る」すすめ ・女性の痛みが社会的に「軽視」されてきた理由 ・カントの勘違い、ニーチェの〝苦痛の効用〟…etc. なぜ痛みは人に伝わりづらいのだろう? 「痛い人」と「痛い人のそばにいる人」をつなぐ、かつてなかった本
-
となりの植物相談所|シン ヘウ 著 米津 篤八 訳
¥2,420
英国王立園芸協会主催「RHSボタニカル・アート・ショー」にて、韓国人初のゴールドメダルと最高展示賞を受賞した作家初のエッセイ集! 「植物について語るとき、 人生について語っている自分を見つけました」 英国王立園芸協会主催「RHSボタニカル・アート・ショー」にて、 韓国人初のゴールドメダルと最高展示賞を受賞した作家初の邦訳! “絵を描く植物学者”がひょんなことから始めた植物相談所には、悩みのタネを抱えた人々が訪れます。子どもから大人まで、性別も問いません。植物についてはもちろん、学業、進路、研究生活、仕事、病、環境問題など、流れに任せて色々なことを話します。 “植物相談所のことをよく知らない人は、植物について何をそんなに相談することがあるのか、不思議に思うようです。植物相談所は植物の知識だけでなく、植物に関することなら何でも話し合える場でした。1時間も話していると、相談者とかなり親しくなれます。そして人生の話、生活の話、他愛もない冗談など、思わぬ方向へと対話が流れていきます。私たちは流れる対話のなかで、知識を分かち合い、疑問に対する答えを探していきました。相談者は植物について知り、私は多様な相談者を通じて人生の授業を受けているようでした。”――はじめに 植物と話したいあなたへの招待状 本書は、そこで行なわれた実際の対話を取り上げ、美しすぎる絵とともに綴った、ハートフルなフルカラーエッセイ集です。 ※本書は이웃집 식물상담소 by신혜우の日本語訳である。 【著者略歴】 ■ シン・ヘウ〈신혜우〉 大学で生物学を学び、植物分類学で博士号取得。米スミソニアン環境研究センター(SERC)研究員として勤務している。植物の形態学的分類や系統進化といった伝統的研究に始まり、植物DNAバーコーディングや植物ゲノム研究などの最新研究に取り組んでおり、植物生態学分野にも研究のフィールドを広げつつある新進研究者である。 英国王立園芸協会主催「RHSボタニカル・アート・ショー」に2013、14、18、22年に出品してすべてゴールドメダルを受賞し、最高展示賞トロフィーと審査委員特別トロフィーを授与された。英国王立園芸協会、米国カーネギーメロン大学、韓国環境省国立生物資源館などに、多くの絵画がコレクションとして選定された。 海外の植物園、自然史博物館、大学、研究所などと活発に交流し、韓国内にあまり知られていない生物イラストの発展に尽力している。植物分類学と生物イラスト分野を融合させた韓国内外の展示、植物相談所、講演、児童教育など、多彩な活動を繰り広げている。 著書に『植物学者のノート』。本書『となりの植物相談所』は初のエッセイ集である。 【訳者略歴】 ■ 米津篤八〈よねづ・とくや〉 朝日新聞社勤務を経て、朝鮮語翻訳家。ソウル大学大学院で修士、一橋大学大学院で博士号取得(朝鮮韓国現代史)。訳書にキム・サンホン『チャングム』、李姫鎬『夫・金大中とともに――苦難と栄光の回り舞台』、イ・ギジュ『言葉の温度』、チョン・ヘヨン『誘拐の日』、キム・ホヨン『不便なコンビニ』、キム・ジュン『くだらないものがわたしたちを救ってくれる』、ナ・ジョンホ『ニューヨーク精神科医の人間図書館』など多数。
-
死んでいるのに、おしゃべりしている!|暮田真名
¥1,760
業界最注目の川柳人による、〈人間をうまくやれない〉と思わされてきた者たちに贈る初のエッセイ集にして、極私的な回復記! “だって、川柳に出会わなければわたしはとっくにこの世にいなかったのだから。” 東京のいわゆる「恵まれた」家庭に「女性として」生まれ、教育にたくさんのお金を費やされたのに、期待どおり「東大」に行けず、望まれた「バリキャリ」にもなれなかったわたし。人間関係もうまく築けず生活は破綻。ノンバイナリーかつアロマンティックだけど、そこに帰属意識も見出せない。心を殺して自罰的にしか生きてこられなかったわたしは、「私たちはモノじゃない、人間だ」「悪いのはあなたじゃない」というまっとうな言葉に、自分が救われることを許せなかった。 そんなわたしを助けてくれたのが、川柳だった。 “わたしの心には「自分が悪い」という考えが無限に湧き出る大きな穴が空いていて、これを直接手当てすることは難しい。一方、身体にはすぐに限界がくる。虚弱な身体を頼りなく思うこともあったけれど、身体は常に心の問題を「手当てができるかたち」にしようとがんばってくれていたのだ。/川柳も、わたしを「無限」や「永遠」の世界から救い出してくれた。「症状」と言うと語弊があるが、川柳も目に見えるし、有限だ。川柳はわたしが初めて手に入れた身体だった。” 川柳しながら経験する世界は、アナーキーで自由だ。本書は、自分には〈人間をうまくやれない〉と思わされてきた者たちに贈るエッセイ集であり、極私的な回復記でもある。 業界最注目の川柳人による、初のエッセイ集。 ■ 暮田真名〈くれだ・まな〉 1997年生。「川柳句会こんとん」主宰。「石になったの?」「当たり」「砕氷船」メンバー。NHK文化センター青山教室で「青山川柳ラボ」講師、荻窪「鱗」で「水曜日のこんとん」主催。川柳アンソロジー『はじめまして現代川柳』(書肆侃侃房)で最年少の川柳人として紹介された、Z世代のトップランナー。2022年に発売された第一句集『ふりょの星』(左右社)は、刊行されるやいなや注目を呼び、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」ほか多数のメディアで紹介された。2023年には〈現代川柳〉の入門書『宇宙人のためのせんりゅう入門』(同)も刊行。ほかに『補遺』『ぺら』(私家版)がある。本書が初のエッセイ集となる。
-
クィアのカナダ旅行記|水上文
¥1,760
日本の同性カップルが「難民認定」されたカナダで手にしたたくさんの問い、そして言葉。二度の滞在をもとに綴る著者初のエッセイ集。 日本の同性カップルが「難民認定」された国で、 わたしが手にしたたくさんの問い、そして言葉。 日本と違って20年前から同性婚ができて、「LGBTQ先進国」と言われるカナダ。先住民や有色人種への差別が残り、パレスチナ解放をめぐって揺れ動いてもいるカナダ。二度の滞在をもとに、そしてバックラッシュが強まる日本の政治的状況を踏まえながら、その今を記録した著者初のエッセイ集。 “わたしたちはここにいる、わたしたちはクィアだ――でも、どうしたら伝わるだろう? 目の前に存在しているにもかかわらずしばしば「見えない」存在にされてしまう/「見えない」存在であることを強いられてしまう時、確かに「ここにいる」と、どうしたら伝わるのだろう。わずかな時間ではあるもののカナダに滞在している間、そして日本に帰ってきてからずっと、わたしは「見える/見えない」存在について考えているような気がする。”(本文より) この旅行記は、ひとりのクィアの経験を綴ったにすぎない。それでも、そのひとりの経験になんとか「言葉」を与え、分かち合うことを通じて、見えてくるものがあるはずだ。 ※英語のタイトル表記はA Queer’s Canadian Travel Journalである。 ■ 水上文〈みずかみ・あや〉 1992年生まれ、文筆家。主な関心の対象は近現代文学とクィア・フェミニズム批評。企画・編著に『われらはすでに共にある――反トランス差別ブックレット』(現代書館)。
-
みえないもの|イリナ・グリゴレ
¥1,980
娘たちとの青森生活、故郷ルーマニアの記憶、フィールドで出会った女たちの魂──。『優しい地獄』の著者が新たな地平を切り開く渾身のエッセイ。斎藤真理子(翻訳家)推薦。 「最初に『何かすごい』と思い、それがずーーーーーっと止まらず、一冊全部がそうだった。」 ――斎藤真理子(翻訳家) デビュー作『優しい地獄』で読書界に衝撃を与えた、ルーマニア出身の文化人類学者イリナ・グリゴレ、最新作。 娘たちと過ごす青森の日々。ふとよみがえる故郷ルーマニアの記憶。そして、語られてこなかった女たちの物語――。 「彼女の人生をスクリーンのようなものでイメージとして見せられたら、彼女の語らなかったことが見えて、あの夜ニュースを見た人たちも彼女を理解できたかもしれない」(本書より) 虚実を超えて、新たな地平を切り開く渾身のエッセイ。 今までに書かれたどんな日本語よりも、鮮烈なことばをあなたに。 ■ イリナ・グリゴレ〈Irina Grigore〉 文化人類学者。1984年ルーマニア生まれ。2006年に日本に留学し、一時帰国後、2009年に国費留学生として来日。弘前大学大学院修士課程修了後、2013年に東京大学大学院博士課程入学。青森県内を主なフィールドに、獅子舞や女性の信仰を研究する。2023年にはバヌアツで女性を対象としたフィールドワークを始めている。キーワードはイメージ、自然観、死生観、有用植物、霊魂。著書に『優しい地獄』(亜紀書房、2022年)。
-
おこさま人生相談室 おとなのお悩み、おこさまたちに聞いてみまし|小林 エリカ
¥2,200
おとなたちの本気の悩みに、おこさまたち102人が本気で向き合う「いつもと逆」の人生相談。人気WEB連載、待望の書籍化! 「なに? もっとこどもみたいにいうと思った?」 ――Ricoさん(7歳) 自分をかわいいと思えない。 父を老人ホームに入れたい。 地球温暖化への無関心が気になる――。 おとなたちの本気の悩みに、おこさまたち102人が本気で向き合う「いつもと逆」の人生相談。人気WEB連載、待望の書籍化! 「よくよく考えてみれば、年を重ねたからといって偉くなれるわけでもないし、いつも正しい答えを知っているとはかぎらない。 おとなだって悩むこともあるよね。 ひょっとすると、こどもの方が答えを知っていることだって、あるかもしれないよね。 というわけで、おこさま人生相談室、始めました。」 ――「はじめに」より ★本書に収録された、おこさまたちの回答より 「しあわせだったらいいかな」 「アニメ観て、ちょっといっぷく」 「2回深呼吸」 「軽い嘘とか役に立つこととかありますんで」 「わがままでいいよ」 「ほしゅわ ほしゅわは~」 「あさ娘さんを抱きしめて」 「理解を深めれば自分の気持ちも変わる」 「神様がくれた命を大切にしてほしい」 ■ 小林エリカ〈こばやし・えりか〉 1978年生まれ。作家、アーティスト。 著書に小説『女の子たち風船爆弾をつくる』(毎日出版文化賞受賞)、『最後の挨拶 His Last Bow』、『トリニティ、トリニティ、トリニティ』、他。エッセイ『彼女たちの戦争 嵐の中のささやきよ!』、コミック『光の子ども』シリーズ、絵本『わたしは しなない おんなのこ』。訳書にサンギータ・ヨギ『わたしは なれる』。国内外の美術館やギャラリーでテキストと呼応するような展示もおこなう。 現在、「MilK MAGAZINE japon」で「おこさま人生相談室」第2弾を連載中。
-
ふらんすの椅子 四月と十月文庫9|鈴木るみこ
¥1,760
雑誌『クウネル』の“心臓”であったライター・編集者鈴木るみこの遺稿集。 静謐な美しい文体にこころが洗われます。 『暮しの手帖』『フィガロ ジャポン』『すばる』などに掲載のエッセイのほか、未発表原稿5篇収録。 夢見る少女は、憧れのフランスに暮らす。いのちを愛おしむ眼差しからせっせと文章を書き、若い読者の夢を応援した。鈴木るみこは、大人になって最後まで夢見る少女のままだった。その切ない証しがポロポロ涙の結晶のようにこの本に詰まっている。 解説「るみちゃんへ」牧野伊三夫 装画 牧野伊三夫 装丁 青木隼人+牧野伊三夫 ■著者 鈴木るみこ(すずき・るみこ) 1963年静岡県富士宮市生まれ。ライター、編集者。1986年上智大学文学部フランス文学科卒業後、マガジンハウスに入社。1992年退社後、約2年間をフランスで過ごし、帰国後、執筆、編集、翻訳を手がける。雑誌『クウネル』に2001年創刊より携わり、生活雑誌の新局面を創出する斬新な編集と同誌に掲載された署名原稿により高い評価と人気を得る。2014年雑誌『つるとはな』ほかの雑誌や書籍の編集および執筆で活躍する。編著に『スマイルフード』(マガジンハウス、2000年)、『糸の宝石』(吉田昌太郎編、島隆志写真、ラトルズ、2009年)、『クウネルの旅 パリのすみっこ』(マガジンハウス、2010年)、『山口さんの椅子/記憶』(オオヤコーヒ焙煎所出版局、2012年)、『O KU 内藤礼 池上はどんなところだったか』(長野陽一写真、hehe、2014年)、『みどりの王国』(戎康友写真、青幻舎、2023年)ほか。2018年5月16日死去。
-
小名浜ピープルズ|小松理虔
¥2,530
ぼくらはみな、だれかの悲しみのよそ者だ。 それでもなお、 他者との間の線を手繰り寄せる。 「他者(矛盾)を自分の中に招き入れ住まわせて、儀礼抜きに、迂路を介さず、問い問われ、問い直し、倫理を探し求めている」 ― 柳 美里( 小説家) 「〈中途半端〉の一語に自分の靄(かすみ)が晴れ、見知らぬ人々の顔がくっきりと見えてくる」 ― 三宅 唱( 映画監督) 東日本大震災と原発事故から10年。魅力的な地元の人々と話し、綴った、災間を生きるすべての人へ捧ぐ渾身の初のエッセイ 東北にも関東にも、東北随一の漁業の町にも観光地にもなりきれない。東日本大震災と原発事故後、傷ついたまちで放射能に恐怖し、風評被害は受けたが直接的被害は少なかった、福島県いわき市小名浜。著者は、この地で生まれ育ち〈中途半端〉さに悶えながら地域活動をしてきた。当事者とは、復興とは、原発とは、ふるさととは――10年を経た「震災後」を、地元の人々はどう捉え暮らしてきたのか。魅力的な市井の人々の話を聞き、綴った、災害が絶えない世界に光を灯す、渾身の人物エッセイ。 ■小松理虔(こまつ・りけん) 1979 年福島県いわき市小名浜まれ。法政大学文学部卒業後、福島テレビ報道部記者、かまぼこメーカー広報などを経て2015年独立。小名浜でオルタナティブスペース「UDOK.」を主宰しつつ様々な分野の企画や地域のプロジェクトに携わる。18年『新復興論』(ゲンロン)で大佛次郎賞受賞。著書に『地方を生きる』(ちくまプリマー新書)、『新地方論』(光文社新書)、『新復興論 増補版』(ゲンロン)。共著に『ただ、そこにいる人たち』(現代書館)、『常磐線中心主義 ジョーバンセントリズム)(河出書房新社)、『ローカルメディアの仕事術』(学芸出版社)。
-
【サイン本】心の鎧の下ろし方|三砂ちづる
¥2,090
24年の教師生活を終え、竹富島に移住した著者。 人生の機微を深いまなざしで見つめ続ける、珠玉のエッセイ集。 闇など誰にでもある。 あなたはどこにでも行ける。 ――――― 一人ひとりのうちには、言葉が眠り、思いが秘められ、魂が息づいている。それらがよりよき形で、その人のうちに立ち現れ、周囲の人との交わりを可能にしていくために、おそらく、生まれてから身につけてきた心の鎧、ともいうべきものを少しずつ下ろしていく必要があるのではないか。――本文より ――――― 教師として、親として、人として受けとめ、受けとめられること。 それはいつでも、一瞬の勝負。 ――読者の声―― ・「こんな風に私は言ってほしかったんだな」と涙が止まらなくなる言葉がいくつもありました。人生のフェーズの時どきで、何度でも読み返したい本です。(30代・女性) ・生きるとか死ぬとか病むとか老いるということに直面せざるを得ない年代の私にとっては、10ほど年上の、うんとたくさんの経験をして来た先輩に、少し先の道を案内していただいて、背中を押してもらっているような本だった。(50代・女性) ・人が生きるおおもとを言葉にして見せてくれる、そうだそうなのだと腑に落ちることがたくさん書かれている。三砂さんの言葉に自分の中の多様性を信じてみたいと思います。(男性) ・丸ごと受け止めてほしい、でも1人の人間として認められたい。そんな厄介な矛盾を抱えた人たちにとって、しなり受け止め、そっと先へ放ってくれる、「母」からのエールのような一冊だと思います。(20代・女性) ・現役世代の後方支援と老親の話し相手と、地元の農業のお手伝い、各々のステージでは主役ではないことをしたい私の手を包み込んで頷いてくれるような。とても励みになった。作品に出会えて良かった。(60代・女性) ・観察と気づきと実感の言語化に「なるほど!」と「ありがたや!」の連続。上の世代の苦しみも、下の世代の生きづらさも、はたまた表裏一体の喜びや希望も、すべてお見通しなのでしょうか、と思えてしまうほどの目配せとあたたかみに、「これから」のための勇気をいただいたような気がします。(30代・女性) ===============(版元より) “一人ひとりのうちには、言葉が眠り、思いが秘められ、魂が息づいている。それらがよりよき形で、その人のうちに立ち現れ、周囲の人との交わりを可能にしていくために、おそらく、生まれてから身につけてきた心の鎧、ともいうべきものを少しずつ下ろしていく必要があるのではないか。“
-
遺骨と祈り|安田菜津紀
¥1,760
死者をないがしろにする社会が、生きた人間の尊厳を守れるのか? 福島、沖縄、パレスチナを訪れ、不条理を強いられ生きる人々の姿を追った、著者の6年間の行動と思考の記録。遺骨収集に取り組む2人の男性の言動を通して、歪んだ現代日本の社会構造を浮き彫りにするとともに、「未来の人の明日をつくる」ためには何が必要なのかを提示する。現地に赴き、自らの実体験から言葉を紡ぎ出した気鋭のジャーナリストの問題提起の書。
-
セカンド・チャンス
¥1,320
『セカンド・チャンス シェイクスピアとフロイトに学ぶ「やり直しの人生」』 スティーブン・グリーンブラット 著 アダム・フィリップス 著 河合 祥一郎 訳 「セカンド・チャンス」(人生をやり直すチャンス)という、危機に直面する人間存在を揺さぶる想念はいつの時代も文学的想像力の核心であった。偶然や意志や運命に左右されるセカンド・チャンスの実現や失敗を描いてきた歴史上最高の作家とその最高の解釈者を通して、人間の再生能力の力強さを考察する珠玉の一冊。
-
さみしくてごめん|永井玲衣
¥1,760
「わたしはいつまでも驚いていたい。こわがっていたい。絶望して、希望を持ちたい。この世界から遊離せずに、それをしつづけたい。世界にはまだまだ奥行きがあるのだから。」 今、もっとも注目される書き手、永井玲衣の最新刊! 哲学は心細い。さみしい。だがわたしは、さみしいからこそ哲学をしているような気がする。生まれてきたことがさみしい。わからないことがさみしい。問いをもつことがさみしい。問いと共に生きることがさみしい。(本文より) ことばが馬鹿にされ、ことばが無視され、ことばが届かないと思わされているこの世界で、それでもことばを書く理由は何だろう。わたしの日記は、戦争がはじまって終わっている。あの瞬間から、日記は戦時中のものとなった。 だが、ほんとうにそうなのだろうか。戦争はずっとあったし、いまもある。わたしが絶望したあの戦争は、いまもつづいている。だからあの日記はすでに戦時中のものだったし、この本も、やはり戦時中のものである。 とはいえ、わたしたちの生活に先立って、戦争があるわけではない。生活の中に戦争が入り込むのだ。どうしたって消すことのできない、無数の生の断片があるのだ。たとえ「対話」ができず、あなたのことばを直接きくことができなかったとしても、決して「ない」のではない。(「あとがき」より)
-
【サイン本】女はつらいよ|真野いずみ
¥1,100
SOLD OUT
エチュードブックス店主の真野いずみさんによる、自伝的なエッセイ。 朝日新聞社傘下サムライト運営の「かがみよかがみ」に投稿し、掲載されたエッセイをまとめた「女はつらいよ 増補版」、「女はつらいよ2 不良娘がやめられない」の合冊版です。 2以降に「かがみよかがみ」に掲載されたもの、過去にラゴンジュルナル(サービス終了)に掲載されたエッセイを加え、加筆修正しました。 ◾️ 真野いずみ(著) 古本屋店主。 機能不全家庭で育った虐待サバイバー、ノンバイナリー、アセクシュアル。 2025年「書くしか。書くしかないひとたちによるエッセイ集」で商業デビュー。 2020年からエッセイやコラムの執筆を始める。2023年、文学フリマでエッセイZINE「女はつらいよ」を販売し完売。 2024年「女はつらいよ増補版」「女はつらいよ2 不良娘がやめられない」を文学フリマにて販売。「女はつらいよ増補版」が福岡の書店「本と羊」にて2024年に売れた本10位に。
-
グレーとライフ|太田尚樹
¥1,650
マイノリティの生きづらさと向き合いながら、確かな希望を見出す29篇のエッセイ。 人生に意味なんてあるだろ。 マイノリティの生きづらさと向き合いながら、確かな希望を見出す29篇のエッセイ。 * 世界の中心はお前じゃない、私でもない。 やさしいって、こういうことだったんだ。 上坂あゆ美(歌人・文筆家) 誰のせいにもしない。 納得するために、命がけで書く。 すごい人がいる。 岸田奈美(作家) すごく楽しい本なのに、 なんかどこまでも救われてしまいました。 花田菜々子(書店員) * 本書「はじめに」より LGBTQのシンボルカラーはレインボーですが、ゲイとして生きてきた僕のこれまで は、どちらかと言えばグレーでした。 本書には、グレーな毎日にいちいちライフを削られる僕の弱腰な人となりと、それでもグレートなライフを諦めたくない僕の意地のようなものが込められています。 自分と同じように、毎日わからないことばかりで喫茶店の端でうずくまってしまうような 人がもう一度席を立ってみようかと思うその助けに、少しでもなればと願っています。 なんとなく前向きになれたり、なんとなくホッとしたりする、そんな曖昧な希望があるよう な、ないような、そんな本であってくれたらと願っています。
-
傷を愛せるか 増補新版|宮地尚子
¥792
SOLD OUT
たとえ癒しがたい哀しみを抱えていても、傷がそこにあることを認め、受け入れ、傷の周りをそっとなぞること。 過去の傷から逃れられないとしても、好奇の目からは隠し、それでも恥じずに、傷とともにその後を生きつづけること──。 バリ島の寺院で、ブエノスアイレスの郊外で、冬の金沢で。旅のなかで思索をめぐらせた、トラウマ研究の第一人者による深く沁みとおるエッセイ。 ■宮地 尚子(みやじ・なおこ) 一橋大学大学院社会学研究科特任教授。専門は文化精神医学・医療人類学・トラウマとジェンダー。精神科の医師として臨床をおこないつつ、研究をつづけている。1986年京都府立医科大学卒業。1993年同大学院修了。主な著書に『傷を愛せるか 増補新版』(ちくま文庫)、『トラウマ』(岩波新書)、『ははがうまれる』(福音館書店)、『環状島=トラウマの地政学』(みすず書房)、『傷つきのこころ学』(NHK出版)がある。
-
しゅうまつのやわらかな、|浅井 音楽 (著), つくみず (イラスト)
¥1,980
とてもやわらかな言葉とやさしい語り口で、日々のしんどさや弱さ、人生の難しさに柔らかく手当をするように向き合わせてくれる、そんな本が登場しました。 くすっと笑えるような言葉遊びも交えながら、日々の生き方、おおげさにいえば人生を一緒に見つめ直してくれます。 ―鮮明に思い出せることほど、ほんとうは忘れられたことなのかもしれない。 忘却と喪失。停滞と安寧。異端の言語感覚で綴られる、過ぎ去った日々の心象。 随筆。小説。詩。日記。変幻自在に境界を超える筆致が織りなす待望の随想集。 装画:つくみず 装丁:名久井直子 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 小さなころの夢は石になることで、いま夢みるのも石になること。 もの言わず、もったりと、ただそこにあるだけのものでありたい。 水と風に磨かれて、つやつやしたからだにひかりを溜めていたい。 ときどき拾われて、飾られたり投げられたりするのも、悪くない。 むきだしのみじめさを武器にも鎧にもしないで、そこにありたい。 『石の日』より ……きっと、何者にもなれない。そんな言葉を聞いて、煮物にもなれない、と思った。 何者にもなれない、という十の音のつらなりは、その九つを煮物にもなれないが占める。 『煮物にもなれない』より ことばはすべて、こころの翻訳だから、決して明かされない秘密を持っている。ちょうど湖の水を手にすくいとったとき、手の中の水はもう湖ではないように、そんなふうにしかことばをあつかうことはできないのだと、しずかにあきらめている。 『コンサバ』より 深淵をのぞくとき深淵もまたひとりぼっち。しーん。えーん。 『めそめそメソッド』より 神は細部に宿るのではなく、細部を見つめる視線に宿る。 それか、細部にすました耳に。こまやかさをこぼさないよう、ふるえる手つきの中に。 『ゴッホとズボン』より
-
生 = 創 × 稼 × 暮|かくれんぼパブリッシング
¥1,980
書籍タイトル:『生 = 創 × 稼 × 暮』(イキル ハ ツクル カケル カセグ カケル クラス) 発売日:2024年7月31日(水) 判型:B6縦変形 著者 ・小説家/大学生 新 胡桃 ・四つ葉のクローバーアーティスト 生澤 愛子 ・薪ストーブ職人(株式会社ファイヤピット代表) 大石 守 ・おおば製パン店主 大場 隆裕 ・農家・百姓/ファームガーデンたそがれ園主 菊地 晃生 ・詩人・国語教室ことぱ舎代表 向坂 くじら ・とおの屋要オーナーシェフ・株式会社nondo代表取締役 佐々木 要太郎 ・諏訪流鷹匠 篠田 朔弥 ・文筆家/博士(哲学) 関野 哲也 ・あんこや ぺ 店主 竹内 由里子 ・文筆家 土門 蘭 ・書店「かみつれ文庫」店主 西岡 郁香 ・花屋みたて店主 西山 美華 ・新渡戸文化学園 VIVISTOP NITOBEクルー 廣野 佑奈 ・古本よみた屋 副店長/文章で遊ぶ人 ブン ・はれやか農園代表 槇 紗加 ・江戸切子職人 三澤 世奈 ・本屋店主/モノ書き/時々大工 モリテツヤ ・空撮写真家/NaohPhoto 山本 直洋 [問い] あなたが生きるとき、創ること・稼ぐこと・暮らすことのバランスをどのように保っていますか。 19名のつくり手による、上記の問いの回答をまとめたエッセイ集。 独特の個性ある書き手がそれぞれのバランスについて語るエッセイ。そんな生き方もあるんだ、という純粋な驚きから、生きることの難しさへの共感。それでもそれぞれの生きるを選んだ人生を垣間見る事ができます。
-
【古本】あわいゆくころ ―陸前高田、震災後を生きる|瀬尾夏美
¥1,000
東日本大震災で津波の甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市。絵と言葉のアーティスト・瀬尾夏美は、被災後の陸前高田へ移り住み、変わりゆく風景、人びとの感情や語り、自らの気づきを、ツイッターで継続して記録、復興への“あわいの日々”に生まれた言葉を紡いできた。厳選した七年分のツイート〈歩行録〉と、各年を語り直したエッセイ〈あと語り〉、未来の視点から当時を語る絵物語「みぎわの箱庭」「飛来の眼には」で織り成す、震災後七年間の日記文学。 ◾️瀬尾夏美(せお・なつみ) 1988年、東京都足立区生まれ。宮城県仙台市在住。東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修士課程修了。土地の人びとの言葉と風景の記録を考えながら、絵や文章をつくっている。2011年、東日本大震災のボランティア活動を契機に、映像作家の小森はるかとの共同制作を開始。2012年から3年間、岩手県陸前高田市で暮らしながら、対話の場づくりや作品制作を行なう。2015年宮城県仙台市で、土地との協働を通した記録活動をする一般社団法人NOOK(のおく)を立ち上げる。現在も陸前高田での作品制作を軸にしながら、“語れなさ”をテーマに各地を旅し、物語を書いている。ダンサーや映像作家との共同制作や、記録や福祉に関わる公共施設やNPOなどとの協働による展覧会やワークショップの企画も行なっている。主な展覧会に「クリテリオム91」(水戸芸術館、茨城、2015年)、ヨコハマトリエンナーレ2017(横浜美術館・横浜赤レンガ倉庫、神奈川、2017年)など。
-
【古本】みずのした|中川正子
¥1,200
SOLD OUT
写真家、中川正子さんの本格的なエッセイ。素敵な写真ももちろん同書に収められています。 日々、Instagramなどでも素敵な写真とともに精力的に文章を発信されている中川さんの今とこれまでをつなぐエッセイです。 以下、版元より。 辿ってきた道は、いまにどうつながっている? 過去の自分に宛てた、現代の私からのメッセージ。 「ある日、短い水路を豪速で往復する白鳥を見た。前傾姿勢になって、水面の下ではがむしゃらに脚をバタつかせている。そうせずにはいられないのがよくわかる。だって、わたしもそうだから」 中川正子はプロのフォトグラファーとして写真を撮り続けるかたわら、日記、ブログ、SNSを通じて、 ほぼ毎日のように自身の思いを言葉に書き残してきた。 なぜそんなにも表現し続けるのか。 50歳になったいま、過去に綴った自身の言葉を改めて振り返ってみる。甘くて、情けなくて、狂おし く、そして純粋な記憶のかけらが蘇る。水路で必死にもがく白鳥に苦笑いしながら小さな声で「がん ばれ」と応援するように、脇目も振らず走り抜けてきた自分にそっと言葉を投げ返してみよう。 ______ 中川正子にとって、本格的なエッセイ本の刊行は初の試み。本著を執筆するにあたり、過去に自身が 綴った日記やブログ、SNSの投稿を読み直し、記憶に強く残る17篇の“昔のわたし” をセレクト。発言 のひとつひとつにときおり茶々をいれつつも冷静に俯瞰。そのときに巡った感情や体験のすべてが“い まの私”にどう繋がっているのかを考えていく。 過去の自分と現在の自分の往復書簡。 進路、結婚、出産、育児、仕事。中川正子のするどい視点とまっすぐな気持ちが、あたりまえの日常を色鮮やかな思い出の波へと変えていく。 _________ どこまでも正直で透明 中川正子さんの綴る言葉はいつも 私の日常に散らばる 痛みをひきうけてくれる。 ー桜木紫乃(直木賞作家) ■中川正子|Masako Nakagawa 1973年横浜生まれ。写真家として、自然な表情をと らえたポートレート、光る日々のスライス、美しいラ ンドスケープを雑誌や広告、書籍などで発表する。 2011年東京から岡山に移住。写真のほかにもトーク ライブや執筆も手掛け、自身のアトリエ 「GATHER」ではイベントを開催。 これまでの代表的な仕事に、写真集『新世界』『IMMIGRANTS』 『ダレオド』『Rippling』『AN ORDINARY DAY』、 桜木紫乃との写真絵本『彼女たち』などがある。
-
らせんの日々 ― 作家、福祉に出会う|安達茉莉子 ぼくみん出版会
¥1,980
SOLD OUT
タイトルの『らせん』がとても印象的です。 この言葉は、数十年にわたり福祉の道に従事してきたひとりの職員が書いた広報誌の文章から引用されています。 ”「福祉に従事することは、多かれ少なかれ、“らせん”のようなものである」 同じところをぐるぐると回っていて、自分が前に進んでいるのか後ろに進んでいるのかもわからない。答えのない日々。だけど、一歩一歩でも少しずつ上昇していく。そんな言葉を遺した人がいて、ずっと覚えていた人がいる。” 数十年に渡り福祉の道に従事してきたひとりの職員が、福祉と「支援」について書き残した一文。 障害者支援や高齢者福祉など多様な分野の事業所を運営する社会福祉法人、南山城学園。そこで著者が出会ったのは、この社会がより生きやすいものになっていくためのヒントに溢れた、“最先端”の風景でした。 素朴だが、やさしく、やわらかい空間。 丁寧かつ創意工夫に満ちた、細やかな支援。 データをとり、その分析によって得られたエビデンスに基づいた取り組み。 日々の実践をふりかえって研究し、言葉にすることを重視する活動。 答えのない、複雑な事柄について話し合うことができる空気。 利用者の生きがいに寄り添い、そのひとの人生に思いを巡らせることのできる想像力。 支援しつづけるために支え合う、職員どうしのフラットな関係性。 ーーそれらの根底に流れ、職員全体に浸透する「人を大事にする」という意識。 自分を取り巻く暮らしを少しずつ変えていくことで幸福へと近づいていく自らの軌跡を描いたベストセラー『私の生活改善運動 THIS IS MY LFE』。 その著者・安達茉莉子が次に描くのは、誰もが人間らしく生きることができる世界を目指す「福祉」の現場。より良く生きることを目指した「生活改善運動」から、自然とケアの世界に足を踏み入れる事になったのだと思います。そのつながりは、偶然のようで決して偶然ではないと感じます。 上から見れば、堂々めぐりのように見え、横から眺めれば後退しているようにも見える。でも、踏み出した一歩によって、わずかに、高みへと上がっている。そんな“らせん”のような日々を、福祉の現場ではたらく職員の語りを通して描いたエッセイ。 一人ひとりのケアの実践を丹念に汲み取り、安心して自分らしく生きられる社会へのヒントを見出し、本という形にしたこのプロジェクトの見事さ。ぜひ、本を読んで味わっていただきたいです。 B6変形 224ページ ■安達茉莉子 作家・文筆家。大分県日田市出身。東京外国語大学英語専攻卒業、サセックス大学開発学研究所開発学修士課程修了。 政府機関での勤務、限界集落での生活、英国大学院留学などを経て、言葉と絵による表現の世界へ。自己の解放、記憶、 暮らし、旅、セルフケアなど、「生」をテーマにした執筆を続ける。このほか、詩作、朗読会、トークイベント、講座など幅広く活動している。
-
【古本】私のいない部屋|レベッカ・ソルニット
¥1,500
“マンスプレイニング”を世に広めた新時代のフェミニズムを代表する作家、ソルニットの歩んだストーリー 「若い女となること。それは数え切れないほどさまざまに姿を変えて出現する自分の消滅に直面することであり、その消滅から逃避し、否認することであり、時にはそのすべてだ。」 父のDVから逃れるように家を離れ、サンフランシスコの安アパートに見つけた自分の部屋。女に向けられる好奇や暴力、理不尽の数々を生き延び、四半世紀暮したその部屋でやがてソルニットは作家になった。 生々しい痛みと不安とためらい、手放さない希望を描くはじめての自叙伝。 通りすがりにつばを吐きかけてきた男。元恋人に刺されて死にかけた友人。アパートの管理人が語ってくれた、追い立てられ続けた黒人の歴史。歩くことの自由を知ったこと、女性が自由に歩けない理不尽への怒り。ゲイの友人たちのファッションとおしゃべりがもつケアの優しさ。バロウズのパーティに潜り込み、美術雑誌に書いた記事。はじめての本をまるごと葬ろうとしてきた編集者──。 自由と抑圧が交錯するアメリカ西海岸、1981年。拾い物の家具、ガラクタ市で見つけた年代物のソファとともに始まったのは、女をいないも同然にあしらう男たちに抗い、自分の声を持ち、なるべき私になるまでの物語だった。 私は自分の辿った道に後悔はない。しかしその始まりの頃、道がはるか遠く先に伸び、若さに許されてあらゆるものに変化することができた人生への一時代への、淡いノスタルジーを感じることはある。私が多くの選択を経て辿ってきた一本の道筋の脇には、無数の別の道があった。可能性の意味とは、かつてなったことのない数多くの存在になることができるということだ。それは時に恐しく、そうでなくとも冷静さを失わせることだ。私にそんな多くの分かれ道が訪れたのは、ミスター・ヤングのおかげであの光あふれる部屋で暮らしていた日々のことだった。(「1 鏡の中の家」より)
-
【古本】手づくりのアジール ――「土着の知」が生まれるところ|青木真兵
¥1,000
注目の在野研究者・移住者・図書館主宰者による土着人類学宣言! あたらしい人文知はここからはじまる。 市場原理主義や、社会に浸透する高度なテクノロジーによる管理化に飲み込まれず、地に足がついたまっとうな生き方をするためには、社会のなかでの「アジール(避難所)」を自分たちの手で確保することが必要ではないか。 ・スピードが最優先される「スマート化」にどう抗うか? ・これからの「はたらく」のかたちとは? ・研究と生活をどう一致させるか?…… 奈良の東吉野村で自宅兼・人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」を主宰する著者が、志を同じくする若手研究者たちとの対話を通じて、「土着の知性」の可能性を考える考察の記録。あたらしい人文知はここからはじまる。 ぼくらの直感は合っていました。合っていたからと言って世界が劇的には変わるわけではないのだけれど、でももうちょっと、この「土着の知」とも言うべき人間の生き物としての部分を認めないと、ぼくたちは生き残ることができないのではないか。社会を維持することだってできないのではないか。本書は『彼岸の図書館』で言語化でき始めたこの直感を、同年代の研究者と共有し、意見交換した記録です。(「はじめに」より) 青木君たち、やっていることは「けっこう極端」なんだけれど、言葉の手ざわりがとてもやさしい。だから話をずっと聴いていられる。──内田樹 ■青木真兵(あおき・しんぺい) 1983年生まれ、埼玉県浦和市に育つ。「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」キュレーター。古代地中海史(フェニキア・カルタゴ)研究者。博士(文学)。2014年より実験的ネットラジオ「オムライスラヂオ」の配信をライフワークにしている。2016年より奈良県東吉野村在住。現在は障害者の就労支援を行いながら、大学等で講師を務めている。著書に、妻・青木海青子との共著『彼岸の図書館──ぼくたちの「移住」のかたち』(夕書房)、『山學ノオト』『山學ノオト2』(共にエイチアンドエスカンパニー)のほか、「楽しい生活──僕らのVita Activa」(内田樹編『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』所収、晶文社)などがある。
