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「分断する」言葉ではなく、「つなぐ」言葉を求めて。
今、ロシアはどうなっているのか。高校卒業後、単身ロシアに渡り、日本人として初めてロシア国立ゴーリキー文学大学を卒業した筆者が、テロ・貧富・宗教により分断が進み、状況が激変していくロシアのリアルを活写する。
私は無力だった。(中略)目の前で起きていく犯罪や民族間の争いに対して、(中略)いま思い返してもなにもかもすべてに対して「なにもできなかった」という無念な思いに押しつぶされそうになる。(中略)けれども私が無力でなかった唯一の時間がある。彼らとともに歌をうたい詩を読み、小説の引用や文体模倣をして、笑ったり泣いたりしていたその瞬間──それは文学を学ぶことなしには得られなかった心の交流であり、魂の出会いだった。教科書に書かれるような大きな話題に対していかに無力でも、それぞれの瞬間に私たちをつなぐちいさな言葉はいつも文学のなかに溢れていた。(本文より)
■奈倉有里
1982年12月6日東京生まれ。2002年からペテルブルグの語学学校でロシア語を学び、その後モスクワに移住、モスクワ大学予備科を経て、ロシア国立ゴーリキー文学大学に入学、2008年に日本人として初めて卒業し、「文学従事者」という学士資格を取得。東京大学大学院修士課程を経て博士課程満期退学。博士(文学)。研究分野はロシア詩、現代ロシア文学。2021年、博士論文『アレクサンドル・ブローク 批評と詩学 ――焼身から世界の火災へ――』で第2回東京大学而立賞を受賞。主な訳書に、ミハイル・シーシキン『手紙』、リュドミラ・ウリツカヤ『陽気なお葬式』(以上新潮クレスト・ブックス)、ボリス・アクーニン『トルコ捨駒スパイ事件』(岩波書店)、フョードル・ドストエフスキー『白夜』『未成年(縮約版)』(『ポケットマスターピース10 ドストエフスキー』集英社文庫ヘリテージシリーズ)、ウラジーミル・ナボコフ『マーシェンカ』(『ナボコフ・コレクション マーシェンカ/キング、クイーン、ジャック』新潮社)、サーシャ・フィリペンコ『理不尽ゲーム』(集英社)など。雑誌「世界」「すばる」などでロシアの動向について、ジャーナリスティックな文章も発表している。
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