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初子さん|赤染晶子

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著者の赤染晶子さんは、1974年生まれ、京都外国語大ドイツ語学科を卒業後、北海道大大学院へ。2004年にデビュー作『初子さん』で第99回文學界新人賞を受賞します。
その後、2010年に『乙女の密告』で第143回芥川賞を受賞。しかし2017年、急性肺炎のため、亡くなられます。
その後、2023年にpalmbooksさんから『ジャムパンの日』というエッセイ集が刊行され、注目を集めています。今回もpalmbooksさんからの復刊となり、デビュー作の『初子さん』のほか、『うつら・うつら』『まっ茶小路旅行店』が収められています。

『初子さん』は、著者の生まれ育った京都が舞台、パン屋に下宿し、洋裁の仕事をする主人公の初子さんのままならない生を描いています。

飄々とした性格で、せっせと一生懸命働く初子さんですが、洋裁をやりたいという夢を叶えたにも関わらず、どこか生に物足りなさを感じ、また達観しているようにも見えます。

幼少の頃からの苦労や、母の生き方もまた影響しているのかもしれません。
そんな、初子さんに反して、町の人はどこかゆったりとしているようです。町のどことなくゆるい雰囲気が、初子さんの心情を際立たせています。

初子さんの描かれた舞台は、今よりずっと昔の時代ではあるものの、どこか現代の生きづらさにも通じるものがある気がします。一生懸命働いていて、生活していても、どこかやりきれない、虚しさを感じてしまう。必死で生活をこらえている、気がしてしまう。そんな、ままならない生をどうしていいかわからないまま抱えている。

主題は少し重めかもしれませんが、物語全体のトーンは暗すぎず、独特のユーモアがあり、軽快に読み進めることができると思います。

前作の『ジャムパンの日』を読んで赤染晶子さんが気になっていた人や、初子さんの舞台にどっぷりと浸かってみたい人、久しぶりに小説を軽く読んでみたいという人に、ぜひおすすめの作品です。

===

あんた、きっとうまいこといくで。
あんパンとクリームパンしか売っていないパン屋の二階で、
初子さんは今日もひとりミシンを踏む。

文學界新人賞受賞デビュー作「初子さん」
傑作「うつつ・うつら」に
単行本初収録「まっ茶小路旅行店」を加えた
著者の原点となる小説集。

子供の頃、一枚の布が人のからだを待つ洋服となるのに魅せられ、洋裁の職人となった初子さん。夢を叶えたはずなのに、かわりばえしない毎日がどうして、こんなにこたえるのだろう。ーー「初子さん」

わて、実はパリジェンヌですねん。京都の古い劇場で赤い振袖姿で漫談をするマドモアゼル鶴子。彼女をおびやかすのは沈黙の客席か、階下の映画館から聞こえてくる女の悲鳴か、言葉を覚える九官鳥か。ーー「うつつ・うつら」

路地にある社員三人の旅行代理店に勤める咲嬉子は、世界中の危険を知りながら今日も世界平和を装う。旅の果てで出会うのは蜃気楼か。すりガラスの窓の向こうに見える日常が蜃気楼なのか。ーー「まっ茶小路旅行店」

生きることのままならなさを切実に、抜群のユーモアをもって描きだし、
言葉によって世界をかたちづくり、語りと現実のあわいを問う
『じゃむパンの日』の著者の原点にして、そのすべてが詰まった小説集。

===(版元より)

赤染晶子 (アカゾメアキコ) (著/文)
1974年京都府生まれ。京都外国語大学卒業後、北海道大学大学院博士課程中退。2004年「初子さん」で第99回文學界新人賞を受賞。2010年、外国語大学を舞台に「アンネの日記」を題材にしたスピーチコンテストをめぐる「乙女の密告」で第143回芥川賞を受賞。2017 年急性肺炎により永眠。著書に『うつつ・うつら』『乙女の密告』『WANTED!! かい人 21 面相』『じゃむパンの日』がある。

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